「運命」と「宿命」の違い・使い分けのコツ
「運命」と「宿命」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。
「運命」は「人の意志に関わらず、めぐってくる運不運など全てのこと」、「宿命」は「前世から決まっている運命」という意味の違いがあります。
「運命」は「人の意志に関わらず、人に幸や不幸を与える力。また、その力によるめぐりあわせ」という意味です。
「運命」は決められたものですが、自分の行動によって変えることが出来ます。悪い運命でも、努力することで幸運に変えることができたり、またその逆になったりすることもあります。
一方、「宿命」は「あらかじめ前世から定まっている運命」という意味です。
「宿命」はその人の前世から決まっている絶対的なものです。現世で努力して行動しても、宿命を避けたり、変えたりすることはできません。
「運命」は変えられるけど「宿命」は変えられないんやで~。
「運命」の意味・使用例
「運命」の意味
「運命」は「人の意志に関わらず、人の行動や運不運・幸や不幸を決める大きな力。また、それによって決められた物事のめぐりあわせ・なりゆき・変化」という意味です。
また、「運命」は「将来の行く末。今後どうなるか」という意味もあります。
「運命」の類語に「巡り合わせ」「運勢」などがあります。
「運命」の基本例
- 「運命的な出会い」
- 「運命だと受け入れる」
- 「会社の運命」
「運命」の例文
- 大学に入り、私は親友と運命的な出会いをした。
- 私は突然病気にかかりショックを受けたが、これも運命だと受けいれた。
- この不景気で会社の運命がどうなるのか非常に心配だ。
「運命」の文献例
- ・・・ている、と結んでいる。 フランスもそうであるが、世界的には王室や皇室は消えていく運命にあり、またイギリス王室のよう損壊しつつあるところもある。こうした状況の中にあっ・・・ 松崎 敏彌(著)「明仁天皇陛下」
- ・・・でもらうか、ゴミ屑の中からくすねた…彼は何ヵ月も悔悟の杯を飲み干した。あきらめ、運命に対して発する子供っぽい怒り、絶望の無気力、などがどういうものか、彼にはよくわか・・・ 増田 義郎(著)「太平洋」
- ・・・のいかなる働きも見られない、という。つまりここで結果が示されないのは、あらかじめ運命が尋ねられ決定されるのではないからである。なるほど秤自体が象徴的であることは疑い・・・ 岡 道男(著)「ギリシア悲劇とラテン文学」
「宿命」の意味・使用例
「宿命」の意味
「宿命」は「生まれる前から決められていて、絶対に変えられない運命」という意味です。「運命」は変えることができますが、「宿命」はどんなに努力して行動しても変えることができません。
ちなみに、「宿命論」という言葉は「一切の物事がそうなると決まっていて、人の力ではどうやっても変えることができない」という考え方です。
「宿命」の類義語は「宿運」「定め」「因縁」などがあります。
「宿命」の基本例
- 「宿命のライバル」
- 「宿命を背負う」
- 「宿命だと受け入れる」
「宿命」の例文
- 彼は試合を勝ち抜き、宿命のライバルとの決勝戦になった。
- 私はこの宿命を背負う覚悟だ。
- 祖父は大変な人生だったが、宿命だと受け入れて懸命に生きた。
「宿命」の文献例
- ・・・新しいウイルスが登場してきます。脳も細胞でできていることによる宿命といえそうです。頭痛は脳の警戒警報誰でもが経験する頭痛は、脳に異常があることの警 ・・・大木 幸介(著)/ 朝倉 哲彦(著)「脳と心の健康を守りたい人へ」
- ・・・利用できるようになるが、その導入に抵抗したのは、業苦は予め定まった宿命だとするスコットランドの原理主義的なカルヴァン派の教区ぐらいだった。啓蒙のイング・・・ ロイ・ポーター(著)/ 見市 雅俊(訳)「啓蒙主義」
- ・・・ーンのディーモッシュと同型機であるが、その風貌は、天と地を永遠に肩に背負うことを宿命づけられたガルガンチーという妖魔を模したものである。消えることがない苦衷と怒りを・・・ 富野 由悠季(著)「オーラバトラー戦記」
記事の参考文献
- 編 西尾実・岩淵悦太郎・水谷静夫・柏野和佳子・星野和子・丸山直子(2019)『岩波国語辞典』第8版.岩波書店
- 編 小野正弘・市川孝・見坊豪紀・飯間浩明・中里理子・鳴海伸一・関口祐未(2024)『三省堂現代新国語辞典』第7版.三省堂
- 小学館「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn>(参照日2024年8月24日)