「配分」と「分配」の違い!意味・使い分けのコツや使用例・例文!

「配分」と「分配」の違い

「配分」と「分配」の違い!意味・使い分けのコツ!

「配分」と「分配」の違い
ことばの博士
配分」と「分配」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。

「配分」

配分」は「割り当てて配ること」、「分配」は「いくつかに分けて配ること」という意味の違いがあります。

配分」は「割り当てて配ることやその分け前」という意味です。

配分」は、全体の分量に対して、割合を考えて配ることを表します。

ただ配ったり分けたりするのみならず、「どのくらいの比率で」「どのような割合で」といった量に着目する場合に使います。

「分配」

一方、「分配」は「いくつかに分けて配ること」「地主に地代、資本家に利潤、労働者に賃金というように、生産に関与した者の間に所得が分けられること」という意味です。

なお「配分」と「分配」は同じ漢字の組み合わせから成り立っています。

”は「くばる、わりあてる」、‟”は「くばる、わけあたえる」という意味がありますので、「配分」と「分配」のいずれも「わけてくばる」という意味になります。

分配」は、分ける行為そのものに重点が置かれている言葉で、全体の分量を分けて、配ることを表す場合に用いられます

要するに「分配」は単に分けると意味が強い言葉です。

「配分」と「分配」の違い

よって、「配分」も「分配」も、わけてくばるという点では同じですが、上述のように「配分」は割合を重視して分けるという点に重きを置き、「分配」は単純に分けるという違いがあります。

助手猫
単純にわけてくばるという行為そのものを表したい場合は「分配」!割合を考えて「分配」する場合は、「配分」やで!

「配分」の意味・使用例

「配分」とは

「配分」の意味

配分」は「割り当てて配ること、その分け前」という意味です。

配分」という言葉を使う場合、「限られたものをどのように振り分けるか」ということが前提になっており、振り分ける量に着目する場合に使います。

なお、経済学においての、「配分」は、お金以外の財を分けるときに用いられます。

ことばの博士
配分」の類義語は「割り当て」「配当」などがあります。

「配分」の基本例

  • 「予算を配分する」
  • 「時間配分
  • 「資源配分

「配分」の例文

  • 彼が担当する事業に配分される予算は、雀の涙だ。
  • フルマラソンは時間配分が大切である。
  • 政府の資源配分が適切であることが、地域経済の活性化には大切だ。

「配分」の文献例

  • ・・・発計画書である。そのねらいは、途上国政府が開発優先セクターを特定し予算を重点的に配分する際に、それぞれの国の貧困の現状を把握したうえで貧困削減への効果を十分検討して・・・ 大野 泉(著)「世界銀行開発援助戦略の変革」
  • ・・・田勝頼の新府城への入城祭りがあって、三時に行列が来るのである。私たちの歩きの時間配分はうまくいって、いましも行列してくるところに間に合った。 信玄亡き後を継いだ勝頼・・・西津 貴美子(著) 「甲州道中を行く」
  • ・・・」と問う. どちらの方向から問いを立てるにせよ,経済的な問題としては,二つの資源配分メカニズムが経済合理的な優劣に応じて使い分けが行われている,と考えられる. この・・・ 伊丹 敬之(著)/ 加護野 忠男(著)「ゼミナール経営学入門」

「分配」の意味・使用例

「分配」とは

「分配」の意味

分配」は「いくつかに分けて配ること。地主に地代、資本家に利潤、労働者に賃金というように、生産に関与した者の間に所得が分けられること」という意味です。

配分」と同じく、「わけてくばる」ことを表しますが、分ける行為そのものを示したいときに分配」を用います。

分配」の意味のうち、「地主に地代、資本家に利潤、労働者に賃金というように、生産に関与した者の間に所得が分けられること」は、経済学用語で使われ、経済学においての「分配」は、お金を分けるときに使います。

ことばの博士
分配の類義語は「分与」「分担」などがあります。

「分配」の基本例

  • 「利益を分配する」
  • 「所得の再分配機能」
  • 「投資信託の特別分配金」

「分配」の例文

  • 共同経営者と今期の利益を分配した。
  • 税金の役割のひとつが、所得の再分配機能だ。
  • 投資信託の特別分配金は、元本の払戻しでしかないので、非課税所得である。

「分配」の文献例

  • ・・・さい。 累進的な所得税は、課税後の可処分所得を平等にする働きがありますから、所得分配の平等化の観点から、多くの国で支持を受けています。ただ、累進課税はマクロ的な観点・・・伊藤 元重(著)「マクロ経済学」
  • ・・・ の「貢献」とするようなシステムに参与し、そこで再生産されたものを「貢献」に応じて分配された結果なのである。 かくして「貢献」の基準という問題(ⅰ)をめぐる第二の問い・・・ 大庭 健(著)「所有という神話」
  • ・・・集団による集団搾取分配だったし、鎌倉時代から江戸時代までは武家集団による集団搾取分配だったわけよ。明治時代になると天皇と官僚集団による集団搾取分配が行われて、それが ・・・野々村 花衣(著)「感性ちゃんと頭脳君の対話」

    記事の参考文献

    • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
    • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
    • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
    • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月9日).
    • 小学館.「プログレッシブ英和中辞典」. <https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/>(参照日2024年12月11日).
    • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月9日).
北澤篤史サイト運営者
1984年(昭和59年)、大阪府生まれ。言葉への関心が高じ、「ことわざ」「漢字」「四字熟語」をテーマに複数のウェブサイトを立ち上げる。これらのサイトは、小中学校の教材として利用されるほか、単語カードやタイピングゲームなど多様な形で活用されている。ことわざ学会研究フォーラムでは、「備えあれば憂いなし:ことわざを通して意識づける災害時の命を守る知恵」「WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか」などをテーマに研究報告を行う。著書に『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社)、『マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉』(講談社)がある。

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