「鍛練」と「鍛錬」の違い・使い分けのコツ
「鍛練」と「鍛錬」は、どちらもタンレンと読む同義語です。
「鍛練」と「鍛錬」は同義語であり、どちらも「金属を打ち鍛えるように、修練を重ねて心身を磨き上げたり、技を極めること」を意味します。
”練”は「ねりぎぬ」とも読み、生糸から不純物を取り除き、質の高いものを選別する様子が漢字の成り立ちとなっており、「質を高める」「心身や技を鍛える」ことを意味しています。
一方で、”錬”は、金属を精錬する様子が漢字の成り立ちであり、「心身や技能をきたえる」という意味の他に、「金属の質をきたえ上げる」という意味があります。
そのため、鍛錬には「金属を良質のものに打ち鍛える」という意味も含まれるという違いがあります。
要するに「鍛錬」を使えばどちらの場面でも間違いないで~
「鍛練」の意味・使用例
「鍛練」の意味
「鍛練」とは、「修養・訓練を積んで心身を鍛えたり、技能を高めること」を意味します。
「鍛練」の類義語には「修練」「修業」「修養」などがあります。学問、スポーツ、武術、芸事、のほか、精神力、体力などあらゆる分野において用いられます。
「鍛練」の基本例
- 「鍛練の成果を披露する」
- 「鍛練を重ねる」
- 「鍛練を続ける」
「鍛練」の例文
- 「野球部の強豪校では、部員たちが甲子園優勝を目指して厳しい鍛錬に励んでいる。」
- 「武術を習うことは、肉体だけでなく精神の鍛練にも有効である。」
- 「ピアノの技術を向上させるために、毎日欠かさず鍛練を続ける。」
「鍛練」の文献例
- ・・・藤左は息を切らせつつ、掛川の威光寺へ駈け向かった。 体力の上では、猫田与助ほどの鍛練を経ていない藤左だけに、威光寺へ着くまでに半刻(一時間)ほどはかかっていたろう。・・・池波 正太郎(著)「真田太平記」
- ・・・年モーツァルトのイタリア旅行を抜きにしてそのオペラは語れない。レオポルドの指導と鍛練は、天才にも必要だったし、その限りでは農婦の母親と拝金主義的父親が、マリア・テレ・・・五味 康祐(著)「ベートーヴェンと蓄音機」
- ・・・、従えた娘たちに声をかけた。彼女の声は、男のだみ声を圧倒している。きちんと武術の鍛練をしてきたものなら、その声が尋常ならぬ修業の賜物だと理解するだろう。実際、ほんの・・・友野 詳(著)「黄金の輝きを!」
「鍛錬」の意味・使用例
「鍛錬」の意味
「鍛錬」とは、「修練を重ね、精神・肉体・技芸などを磨き極める」ことを意味し、上述のように「鍛練」と同義語です。ただ「鍛錬」はそれに加え、「金属を鍛え上げて質を高める」ことを意味します。
後述の意味の場合、例えば「鉄を鍛錬する」のように使われます。
「鍛錬」の基本例
- 「心身の鍛練」
- 「鍛錬にいそしむ」
- 「鍛練を積む」
「鍛錬」の例文
- 「日々鍛錬を重ねてきた結果、ついにフルマラソンを完走することができた」
- 「職人が鉄を鍛錬して作った江戸時代の日本刀」
- 「プロの料理人になるには長年にわたる厳しい鍛錬が必要である」
「鍛錬」の文献例
- ・・・ゴールをきったとき、あんまり疲れて見えなかったなあ。彼女のような天才でなくても、鍛錬したアスリートはけた違いのスタミナを持っているわけだ。 つまり、日頃、ろくに体を・・・生島 ヒロシ(著)「生島ヒロシの50歳からの健康上手」
- ・・・でいう金工の分野が確立されるに到った。 しかし、注意しなければならない点は、鉄を鍛錬して日本刀などの刃物を造る場合は、鍛冶と呼ばれ、その制作方法は他の金工品とは異な・・・扇子 忠(著)「皇室の饗宴とボンボニエール」
- ・・・たライセンス維持が求められるエアラインパイロットの世界には日々、「心・技・体」の鍛錬を怠ることなく、第一線で活躍し続けるプロスポーツ選手の世界と相通じるものを感じて・・・東京 写楽(著)「飛行機ノススメ」
記事の参考文献
- 編 松村 明 山口 明穂 和田 利政 (2009)『国語辞典』第十版,旺文社
- 編 新村 出(1991)『広辞苑』第四版,岩波書店
- 小学館.「デジタル大辞泉」.<https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年7月22日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年7月22日).