「探検」と「冒険」の違い!使い分けのコツ

「探検」「冒険」

「探検」と「冒険」の違い・使い分けのコツ

「探検」「冒険」
ことばの博士
探検」と「冒険」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。

探検」は「未知の場所に踏み込んで、調べること」、「冒険」は「何か目的のために、危険なことをあえて行うこと」という意味の違いがあります。

探検」は「未知の場所に行き、そこを調べること」という意味です。

探検」の‟”は「奥深くまでさぐる」、‟”は「しらべる」という意味があり、「実際に行き奥深くまで調べる」という意味になります。

なお「探険」という言葉があり、「探検」とほぼ同義語ですが、危険を冒してという意味合いが「探検」よりも強いです。

ただ新聞では「探検」で統一されていることから、「探険」と「探検」で迷った場合は、「探検」を使う方が無難でしょう。

一方、「冒険」は「目的のために、危険なことを押し切って行うこと」という意味です。

冒険」の””は「突き進む。押し切ってする」、‟”は「けわしい。危ないところ」という意味があり、合わせると「危ないことを押し切ってする」という意味になります。

助手猫
”と‟”は両方とも「ケン」と読んで、漢字も似てるけど、その意味は違うんやで~。

「探検」の意味・使用例

「探検」とは

「探検」の意味

探検」は「未知の場所に行き、そこを調べること」「場合によっては危険を冒しても、未知の地域に踏み込み、そこを調べること」という意味です。危険な所に行く場合もありますが、それが目的ではありません。

探検」は好奇心を満たすためだけではなく、調査のために、という「調べるために行う」という目的が明確にあります。

ことばの博士
探検」の類義語に「探索」「調査」などのがあります。

「探検」の基本例

  • 「洞窟を探検する」
  • 「市内を探検した」
  • 「南極探検隊」

「探検」の例文

  • 明日、専門家達が集まり最近発見された洞窟を探検する予定だ。
  • 小学校の社会科授業の一環で、クラスの皆で市内を探検した。
  • 今年も南極探検隊の活動が行われている。

「探検」の文献例

  • ・・・ このとき大隈は「百発の空砲は一発の実弾に如かず」と激励の言葉で白瀬南極探検隊を送りだしている。「百発の空砲」とは世間の中傷や非難を指し、「一発の実弾」は白・・・ 西堀 榮三郎(著)「ものづくり道」
  • ・・・たれたわけだ。 われわれの肩の荷は、にわかにゆるんだ。支隊の成功は、いわば、全探検隊の成功を意味する。われわれは、支隊の成功を確信してはいたけれども、じっさいに眼 ・・・森下 正明(著)「大興安嶺探検」
  • ・・・ロード」と呼ばれ、住民の間で親しまれている。三年ほど前から定期的に「知る区ロード探検隊」なるものが組織され、参加者はこれまでに六万人にも及ぶ。 東京という都市そのも ・・・村木 良彦(著)「ビデオジャーナリズム入門」

「冒険」の意味・使用例

「冒険」とは

「冒険」の意味

冒険」は「ある目的や好奇心、征服欲から未知の危険なことにあえて挑戦すること」に加えて、「物語などで、読者や観客をワクワクさせるような、主人公たちの勇敢な旅のこと」という意味があります。

また、「冒険」には「成功しそうにないことにあえて挑むこと」という意味もあります。

ことばの博士
冒険」は「危険なこと、ワクワクドキドキすることに挑戦する」という点に重点が置かれています。

「冒険」の基本例

  • 冒険にでる」
  • 冒険小説」
  • 冒険はできない」

「冒険」の例文

  • 家族や友人に見送られ、私はついに冒険にでる。
  • この冒険小説はとても面白いからおすすめだ。
  • 彼は上司に新しい事業を提案したが、「そんな冒険はできない。」と却下された。

「冒険」の文献例

  • ・・・と、列車はまさにすぐ発車した。 その瞬間、すべてはすばらしい冒険に変わった。 トニーは何軒かのしかるべき娼家の住所のメモをわたして、私たちを街の・・・パヴェル・ヘイツマン(著)/ 田才 益夫(訳)「鋼鉄の罠」
  • ・・・それにしても、ディーン、お前ってつくづく、誰かと一緒であろうとそうでなかろうと、冒険だの、探検だのをするには向いていないね! お前ときたら、どうしてこんなになんでも・・・ 栗本 薫(著)「消えた女官」
  • ・・・をいだきつつも、報酬に目がくらんで、ぼっちゃんとやらを連れ歩いているという凶悪な冒険者を退治することになったというわけじゃ」 「まあ、騙されてたとわかったなら、はら・・・ 友野 詳(著)「天下無敵の冒険者」

記事の参考文献

  • 編 西尾実・岩淵悦太郎・水谷静夫・柏野和佳子・星野和子・丸山直子(2019)『岩波国語辞典』第8版.岩波書店
  • 編 小野正弘・市川孝・見坊豪紀・飯間浩明・中里理子・鳴海伸一・関口祐未(2024)『三省堂現代新国語辞典』第7版.三省堂
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年8月21日)
  • 小学館「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn>(参照日2024年8月21日)
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
error: 右クリックはできません。