「体験」と「経験」の違い・使い分けのコツ
「体験」と「経験」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。
「体験」は「自分で、やってみること」、「経験」は「自分がやってみることや、それによって身につける、知識や技能のこと」という意味の違いがあります。
「体験」は「自分が現場で、やってみること」という意味です。
「体験」の‟体”は「身につける」、‟験”は「たしかめる。ためす」という意味があり、合わせると「身をもって確かめる、試すこと」すなわち「自分が実際に、やってみること」という意味になります。
「体験」は自分が主観的に、やったことに重点が置かれます。
一方、「経験」は「自分がやってみたりして身につける、知識や技能のこと」という意味です。
「経験」の‟経”は「通り過ぎる。へる」という意味で、‟験”と合わせると「自分がためした事を経る」すなわち「自分でやったことを経て得たもの」という意味になります。
「経験」は実際にやってみることや、それを経て得た知識や技能、またその経験により後に影響が及ぶことに重点が置かれます。
「経験」はやったり、そこから得た知識や技能までを表すんやで〜
「体験」の意味・使用例
「体験」の意味
「体験」は「自分が現場で、実際にやること」という意味です。「体験」はその人自身が行うものなので、より主観的なものです。
「体験」はその行為自体を重視しています!
「体験」の基本例
- 「無料体験」
- 「体験した」
- 「体験談」
「体験」の例文
- 私は友人からヨガ教室に誘われ、早速無料体験をすることにした。
- 公民館のイベントで、子ども達がけん玉や竹馬など昔の遊びを体験した。
- 彼女は学校で職場体験をしたので、その体験談を書くことにした。
「体験」の文献例
- ・・・ショー手織り体験も 西陣織を通じて京都の伝統文化に触れる「小学生西陣織体験講座」が十日、京都市上京区の西陣織会館で開かれた。着物ショーを披露したり、糸繰り・・・ 京都新聞社(著)「京都新聞」
- ・・・感動したり、平和についてのディスカッションを聞いたり、八〇歳近いおじいさんの戦争体験談を聞いたり、駅周辺で時々歌っているという路上バンドの青年たちの歌を聴いたり一緒・・・ 原 まゆみ(著)/ 森 博俊(著)『「特別ニーズ教育」「特別支援教育」と障害児教育』
- ・・・ジモンカードゲームスターターVer.5 1セット購入すれば、すぐにカードゲームが体験できるセット。Ver.5には、デジモンとオプション、合わせて60種類のカードがあ・・・ 畠山 律子(著)「ディーアークver.1大百科」
「経験」の意味・使用例
「経験」の意味
「経験」は「そこで自分がやったり、それによって身につけた、知識や技能のこと。その後にも影響するような出来事の中に身を置くこと。」という意味です。「経験」は身につけた知識や技能なので「体験」と比べ、客観的なものです。
「経験」は「世間の変化を経験する」という様に抽象的なものにも使われます。
「経験値」は「経験を積んで得られる力の度合い」という意味があります。
「経験」の基本例
- 「経験を積む」
- 「経験者」
- 「経験を生かす」
「経験」の例文
- 彼女は入社して20年が経ち、色々な経験を積むことで独立する準備ができた。
- 彼は就職活動をしているが、経験者の求人が多く苦戦している。
- 今回の事業の経験を生かすために、しっかりとした振り返りが必要だ。
「経験」の文献例
- ・・・淡路大震災での経験であった。神戸に仮設された文化ホールの柿落としの仕事の経験からひとつの目安が出来ていたからだ。あの程度の設備が作れれば宝塚の公演は可能だ。 ・・・植田 紳爾(著)「宝塚百年の夢」
- ・・・うな感じの老女たちに、これはテレビ画面で出会ったことがある。東京都内の助産婦の経験者が三人ほどで、共働き家庭の子どもたちの「保育ママ」をしている話だった。 自治体・・・ 樋口 恵子(著)「私の老い構え」
- ・・・ると、殆んどの者が何処に何という「物知り」がいたということをよく憶えていて、その経験談を話してくれる。この「物知り」の中には、もう故人になり伝説的に語られている者も ・・・高重 義好(著)「日本民俗文化資料集成」
記事の参考文献
- 編 見坊豪紀・市川孝・飛田良文・山崎誠・飯間浩明・塩田雄大(2022)『三省堂国語辞典』第8版.三省堂
- 編 北原保雄(2021)『明鏡国語辞典』第3版.大修館書店
- 小学館「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn>(参照日2024年10月2日)