「食料」と「食糧」の違い・使い分けのコツ
「食料」は「食べ物、または食べ物になる材料」、「食糧」は「食べ物、特に主食となる食べ物」という意味の違いがあります。
「食料」は「食べ物、または食べ物のもとになる材料」という意味があります。
「食料」の‟食”は「たべるもの」という意味で、‟料”は「もとになるもの、使うためのもの」という意味があります。合わせると、「食べ物、または食べ物のもとになる材料」という意味になります。
一般的に、食べるもの全般を指し、米や麦、肉、魚、野菜、果物、乳製品、調味料などが含まれます。
一方、「食糧」は「食べ物、特に主食となる持ち運びが簡単な食べ物」という意味があります。
「食糧」の‟糧”は「蓄える、旅行や行軍の際に携行する食糧」という意味があります。食べ物の中でも蓄えたり、移動するときに持ち運びが簡単な食べ物を指します。
通常、穀物など大量生産し供給されるもので、米、小麦、とうもろこしといったものを指し、資源的なものを言います。
また、「食糧」には「生命の維持に必要なもの」という意味もあり、戦争や飢餓、災害時などの生死に関わる場面で、「食糧」という言葉はよく使われます。
一般に、「食料」は私たちの生活に身近な、直接口にできる食べ物全般をあらわすので、消費者が直接手にして消費するものを言います。
そして「食糧」は生命を維持する食べ物という点で、戦争や飢餓、災害時など国単位での問題などで扱われるものを言います。
「食料」の意味・使用例
「食料」の意味
「食料」は「食べ物、または食べ物になる材料」という意味です。
また、馴染みは薄いですが、「食料」には「食べ物の代金、食費」という意味もあります。
「食料」の基本例
- 「食料品」
- 「食料を調達する」
- 「食料自給率」
「食料」の例文
- あのスーパーは食料品が充実している。
- みんなで夕飯の食料を調達しに行こう。
- 日本の食料自給率が低い。
「食料」の文献例
- ・・・し、重傷者から先に救命ボートや救命ゴムボートに移乗させなさい。同時に、ある限りの食料、水、衣類を積み込むこと。よろしいか、生存者は一人も見捨てないように』 私は、最・・・ 岡本 好古(著)「戦艦長門の最期」
- ・・・に、まともな社会生活なんて不可能だ。 朝飯を食おうと冷蔵庫を開けたら、なにひとつ食料が入っていなかったこの俺に、しかしそれでも空腹を我慢して風呂に入ったら、石鹼もシ・・・滝本 竜彦(著)「NHKにようこそ!」
- ・・・ある。一方、日本の国土は強い酸性であるために、人の遺骸や木製の構築物、動植物質の食料などは数十年も経たないうちに朽ち果ててしまう。精神生活や言語など、もとより残るは・・・岡村 道雄(著)「縄文の生活誌」
「食糧」の意味・使用例
「食糧」の意味
「食糧」は「食べ物、特に主食となり移動するときに持ち運びが簡単な食べ物」という意味です。
また、「生命を維持するのに必要なもの」という意味から、国際連合食糧農業機関(FAO)という世界の食糧問題を扱う機関には「食糧」という字が使われています。
「食糧」の基本
- 「食糧危機」
- 「食糧難」
- 「食糧援助」
「食糧」の例文
- 日本も戦後は食糧危機に面していた。
- アフリカの食糧難は深刻だ。
- 発展途上国への食糧不足を国際的に行う援助を食糧援助という。
「食糧」の文献例
- ・・・配、欠配で食べるものに困った庶民でした。当時、日本社会で法律を犯していないのは、食糧関係の違反で刑務所に入っている人だけといわれたものです。 「おまえと子どもたちの・・・武田 邦彦(著)「何を「食」べれば安全か!」
- ・・・ばかりの家がある。田地も多少みられ、農耕も行われている。しかしそれだけでは住民の食糧を賄えないので、ここの者は南北に行って交易する(書き下し文第一部3)〉―どうやら・・・ 篠田 秀幸(著)「卑弥呼の殺人」
- ・・・タリアから輸入されていた。さらにはエチオピアから流れてきた難民に対する大量の援助食糧 が市場に出回っていた。 それではいったい、どんな事情により援助食糧が市場に出回り・・・岡倉 登志(著)「アフリカ史を学ぶ人のために」
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 7小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月9日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月9日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.