「採用」と「導入」の違い・使い分けのコツ
「採用」と「導入」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。
「採用」は「適当な人物や方法などを、受け入れて用いること」、「導入」は「あるものや条件・仮説などを有用なものとして取り入れること」という意味の違いがあります。
「採用」は「その組織などに適当だと判断した人物や方法などを取り入れること」という意味があります。
「採用」は日常生活でも人物や意見、方法など色々なものに使われています。その中でも特に雇用など人に対して使うことが多く、人の意見に対して使うことも多いです。
一方、「導入」は「あるものを有用なものとして取り入れること」という意味です。
また、「導入」には「懸念を解決するために、ある条件や仮説を取り入れること」という意味もあります。幅広く使われますが、ものや方法・条件など、人以外に使われることが多いです。
両方とも「取り入れる」という意味は同じだけど、主に「人」か「もの」かの違いがあるんやな~。
「採用」の意味・使用例
「採用」の意味
「採用」は「その組織・機構に適合するか調べた上で、好ましい条件を備えていると判断した人物や案、方法などを受け入れたり、取り入れること」という意味です。
企業の社員雇用など、人に対して使われることが多いです。また、人の意見や案に対してもよく使われます。
「採用」の類義語に「採択」があります。
「採用」の基本例
- 「社員を採用する」
- 「採用試験」
- 「臨時採用」
「採用」の例文
- 人事部が社員を採用する準備を進めている。
- 私は就職活動でその企業の採用試験を受けた。
- 我が社は新しい部署の立ち上げに向け、臨時採用を行うこととなった。
「採用」の文献例
- ・・・だ。人材交流の仕組みは、派遣期間が三年以内、民間人は国家公務員として採用、国が給与を支給する。このシステムでの前進は、従来少なかった官僚の民間企業への派 ・・・岡田 康司(著)「されど護送船団は行く」
- ・・・できる。 上司にゴマをするのではなく、押しあげるのだ。会議で企画を提案し、それが採用されそうだと判断したら、さりげなく上司の名前を出して持ちあげる。上司としても気分 ・・・堀場 雅夫(著)「仕事ができる人できない人」
- ・・・になるであろうという情勢認識もある。 かくして、当面可能な対応としてNPO法人が採用されるようになったのである。議論の経過では、「プチトマト」独自でNPO設立をとい・・・ 鈴木 敏正(著)「生涯学習の教育学」
「導入」の意味・使用例
「導入」の意味
「導入」は「有用なものとしてみちびき入れること」「問題などを解決するために、ある条件や仮説などを取り入れること」という意味があります。
また、「導入」には「学習を始める際に生徒に興味や関心を持たせるための準備段階」、「楽曲や小説の構成で、主題に入る準備の冒頭部分」という意味もあります。
学習や楽曲、小説では「導入部」という風に使われます。
「導入」の基本例
- 「在宅勤務制度を導入している」
- 「機械を導入する」
- 「導入部」
「導入」の例文
- 働き方改革で、多くの企業が在宅勤務制度を導入している。
- 工場での効率化のため、最新の機械を導入する。
- 私はその最新楽曲の導入部がとても気に入っている。
「導入」の文献例
- ・・・れた. なお,建物の増改築が圧倒的に多いとはいえ,医療情報システムの導入や,医療・福祉関連などの経営拡充・多角化といった近年の病院経営をめぐる環境変化に・・・ 松原 由美(著)「これからの中小病院経営」
- ・・・仕事の内容や進め方などを両社共通化していく必要がある。研究開発、新設備導入、新規事業開発など、協同して作業を進めることが大切である。とかく、被M&A企業社・・・ 横林 寛昉(著)「利益を生み出す経営モデル&実践シート」
- ・・・て、欧米のコングロマリット、日本、韓国の旧財閥系グループのような企業集団方式の導入を推奨してきた中で、日本の旧財閥に見られた資本の集中化、すなわちホールディングカ・・・ 射場 和行(著)「中国投資・会社設立ガイドブック」
記事の参考文献
- 編 林史典・林義雄・金子守.(2016)『学研現代標準国語辞典』第3版.学研プラス
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・山田明雄・上野善道・井島正博・笹原宏之.(2012)『新明解国語辞典』第7版.三省堂
- 小学館「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn>(参照日2024年8月19日)