「最後」と「最期」の違い!使い分けのコツ

「最後」「最期」

「最後」と「最期」の違い・使い分けのコツ

ことばの博士
最後」と「最期」は、どちらもサイゴと読む同音異義語です。

最後」は「物事の終わり」、「最期」は「命の終わり」という違いがあります。

最後」は「いくつか続いているものの一番あと」という意味です。日常の中で様々なものに使われています。また、「~したら最後、」という使い方をすると「それで終わってしまい、後はどうにもならないこと。それっきり」という意味になります。

最後」の反対語は「最初」になります。

一方、「最期」は「命が終わる時」「死ぬ間際」という意味です。人の一生が終わる時を意味することが多いです。また、人以外にも「王朝・国が終わる時」も意味します。

最期」の反対語は「誕生」「出生」になります。

助手猫
両方とも「終わること」を意味してるけど、その対象が違うんや。

「最後」の意味・使用例

「最後」とは

「最後」の意味

最後」には「いくつか続いているものの一番うしろ、一番あと」「いくつかあるものの終わり」「その物事の終わり」という意味です。

また、「~したら最後、」という使い方をすると、「~をしたら決定的な事態を招く。それっきり」という意味になります。

ことばの博士
最後」の類義語には「最終」「それっきり」「終わり」などがあります。

「最後」の基本例

  • 最後の練習」
  • 最後の一枚」
  • 「それを見たら最後

「最後」の例文

  • 吹奏楽部の地区コンクールの本番に向けて最後の練習を行う。
  • このクッキーの最後の一枚を兄弟どちらが食べるかジャンケンで決める。
  • おもちゃ売り場のぬいぐるみを見たら最後、女の子はその場から動こうとしない。

「最後」の文献例

  • ・・・た。夢の中に見るだけで、曠吉はまだ千恋の顔を、実際に見たことがないのだ。―それが最後の気持ちの整理でもあった。 千恋は月に一度か、せいぜい二度、手造りの人形を置きに ・・・久世 光彦(著)「本の旅人」
  • ・・・った。とにかく盛会なパーティだった。邦チャンと一緒に行ってみて良かったと思った。最後にバタヤンが唄った。相変わらず生で聞くと良い。 私はくたくたに疲れて帰って来た。 ・・・水の江 瀧子(著)「ターキーの気まぐれ日記」
  • ・・・るでしょう。そしていつかあなたは私たちの家の伝説の人ともなりましょう。 では最後にお礼を言わせて下さい。大声で声の続く限りお礼を言わせて下さい。チコちゃん、あり ・・・渡部 毅彦(著)「お母さんのための童話集」

「最期」の意味・使用例

「最期」とは

「最期」の意味

最期」には「生命の終わる時」「死に際」という意味です。人の死に対して使われること多いですが、動物など人以外の生き物に使われることもあります。

また、「最期」は「王朝や国が終わる時」という意味もあります。一度きりで繰り返すことがないものの終わりを表します

ことばの博士
最期」の類義語には「臨終」「死期」などがあります。

「最期」の基本例

  • 「立派な最期だった」
  • 最期をみとる」
  • 「王朝の最期

「最期」の例文

  • 死に際まで皆を気にかけて、あの人らしい立派な最期だった。
  • 病院で祖父の最期をみとることが出来て良かった。
  • 皇帝が敵に討たれ、長く続いた王朝も最期の時を迎えた。

「最期」の文献例

  • ・・・ばな…」 「結局、父親は父親なりに幸せな人生を歩いたのじゃないかと思っています。最期を看とって下さったやさしい方にも恵まれましたし」 「そうだね。財産らしい財産は何 ・・・大沢 在昌(著)「夢の島」
  • ・・・はじめ、文永の役でくりひろげられた勝本の高麗橋古戦場、2度目の襲来の弘安の役で、最期を遂げた壱岐守護代、弱冠19歳の少貳資時の墓など各所にしのばれる。 江戸時代は平 ・・・中尾 隆之(著)「旅の手帖」
  • ・・・、北国を流浪している間も、常に後醍醐支援の姿勢を崩さなかった。 義貞の壮絶極まる最期は、だがあまり評判がよくない。『太平記』では彼の死を犬死にと規定して、と記述され・・・ 森村 誠一(著)「太平記」

記事の参考文献

  • 編 林史典・林義雄・金子守.(2016)『学研現代標準国語辞典』第3版.学研プラス
  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・山田明雄・上野善道・井島正博・笹原宏之.   (2012)『新明解国語辞典』第7版.三省堂
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」.<https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年8月4日)
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
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