「重荷」と「負担」の違い!使い分けのコツ

「重荷」と「負担」の違い

「重荷」と「負担」の違い・使い分けのコツ

「重荷」と「負担」の違い
ことばの博士
重荷」と「負担」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。

重荷」は「耐え難いほどのつらい事柄」、「負担」は「力量を超えた仕事や責任、義務などを引き受けること」という意味の違いがあります。

重荷」は「耐え難いほどのつらい事柄や負担」という意味があります。

重荷‟重”「程度がはなはだしい。ひどい」という意味で、‟荷”は「にもつ。になう。」という意味があります。

合わせると「程度がはなはだしい荷物」すなわち、「耐え難いほどのつらい事柄」という意味になります。

自分にとって、苦痛と感じることをしなければならないときに使い、仕事や責任、義務そのもののことを言います。

一方、「負担」は「力量を超えた仕事や責任、義務などを引き受けること。またその仕事・義務」という意味です。

負担」の‟”は「背負う。受ける。」という意味で、‟”は「になう。引き受ける。」という意味です。

責任や義務の上でしたいかしたくないかに関わらず、引き受けなければならないことを表します。

重荷」も「負担」も能力以上の仕事や責任、義務のことを言いますが、「負担」は仕事や責任、義務そのものの他、仕事や責任、義務を引き受けるという行為のことも意味します。

そして「負担」は「する」をつけ「負担する」という動詞でも使われることから、「重荷」より多い場面で使うことができます。

助手猫
負担」も「重荷」も意味が重なるところもあるけど、「負担」の方が意味は広いんやな

「重荷」の意味・使用例

「重荷」とは

「重荷」の意味

重荷」は「耐え難いほどのつらい事柄や負担」という意味です。

さらに「重荷」は文字通り、「重い荷物」という意味もあります。

「重い荷物を持つのは辛い・・」というところから転じて「重荷」という言葉は「つらい事柄」という意味になりました。

ことばの博士
重荷」の類義語には「負荷」「負担」「重圧」などがあります。

「重荷」の基本例

  • 重荷になる
  • 重荷に感じる
  • 重荷を下ろす

「重荷」の例文

  • 重荷になりそうな予感がする。
  • その案件は私にとって重荷に感じる。
  • ようやく重荷を下ろすことができた。

「重荷」の文献例

  • ・・・模の拡大を追い続けたあとのバブルの崩壊によってもたらされた過剰債務と含み損という重荷は、自力再建を容易に許さない状況にまでダイエーを追い詰めるところとなった。 味の・・・ 大沢 武志(著)「経営者の条件」
  • ・・・すると、痛みとともに、かえってその層の深さを感じてしまう。 萌子自身、この時間の重荷を感じるのか、歓びにしろ怒りにしろ、感情の現われが極端になってきた気もする。 ち・・・田久保 英夫(著)「仮装」
  • ・・・しているのです。 親の期待と、自分の実力との落差を感知すると、それが重荷となり、重荷から逃れようとして、家出や自殺など、逃避や神経症の病的心理にも陥ります。 このよ・・・坂東 義教(著)「坂東先生の教育講座」

「負担」の意味・使用例

「負担」とは

「負担」の意味

負担」は「力量を超えた仕事や責任、義務などを引き受けること。またその仕事・義務」という意味です。

また「負担」には「仕事などを引き受けたことによって生じる、肉体的、精神的な圧迫感」という意味もあります。

さらに「背負ったり、担いだりすること。またその荷物」という意味もありますが、決して一般的に使われているわけではありません。

ことばの博士
「財政負担」「税負担」のようにお金の責任でも使います

「負担」の基本例

  • 負担する」
  • 負担になる
  • 負担をかける

「負担」の例文

  • 政府の失策を増税で負担する。
  • その作業はみんなの負担になる。
  • 負担をかけて申し訳ありません。

「負担」の文献例

  • ・・・祉・低負担型(自助努力中心)でもない、公民の適切な組み合わせによる適正給付・適正府負担というわが国独自の福祉社会をめざすべきだとした。その上で特に、少子・高齢社会に適・・・山﨑 泰彦(著)「社会保障論」
  • ・・・護内容の実質の変化、福祉と保健、医療制度によって同じようなサービスを受けていても負担やしくみが異なるという制度の不具合、高齢者介護施設が足りず在宅介護サービスも不十・・・ 清水 弥生(著)「高齢者福祉概説」
  • ・・・げには反対の姿勢を崩そうとしていなかった。しかし、少子高齢社会を間近に控えて財政負担の大きさを考える小沢にしてみれば、社会党のかたくなな姿勢は受け入れることができな ・・・草野 厚(著)「連立政権」

    記事の参考文献

    • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
    • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
    • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
    • 7小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月7日).
    • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月7日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
error: 右クリックはできません。