「起点」と「基点」の違い!使い分けのコツ

「起点」と「基点」の違い

「起点」と「基点」の違い・使い分けのコツ

起点 基点の違い
ことばの博士
起点」と「基点」は、どちらもキテンと読む同音異義語です。

起点」は「物事の始まりとなる点。」で、「基点」は「計測や作図をする際の基準として採用する点や場所。」という意味の違いがあります。

起点」は「物事の始まりとなる点。出発点」という意味です。

起点」の“”は「はじまり」、‟”は「特定の場所・位置・点」という意味があり、合わせると「始まりの点」という意味になります。

起点」は鉄道や道路などの出発点としての意味で用いられることが多く、物事の始まりとなる具体的な場所や時点を指します。

また「JRの東海道本線の起点は東京駅だ」のように、基本的に「起点」は始まりの点なので1つしかなく、固定されているものです。

一方、「基点」は「計測や作図をする際の基準として採用する点や場所。基準点」という意味です。

基点」の‟”は「もとづく・もと」という意味があり、上述の‟”と合わせると「もととなる点」すなわち「基準として採用する点」という意味になります。

基点」は「起点」と違い相対的なもので、「○○駅を基点として半径200m以内の地図を作成する」のように、○○駅はどこの駅にしてもいいですし、基準点なので、時と場合により変化します。

助手猫
起点」も「基点」も文章よりも、会話の時に、同じ「キテン」の読みやから、注意が必要やで〜

「起点」の意味・使用例

起点とは

「起点」の意味

起点」は「物事の始まりとなる点。出発点」という意味です。

上述のように、鉄道や道路などの出発点などとして主に使われますが、河川においては、出発点の源流ではなく河口を「起点」といいますので、注意が必要です。

ことばの博士
起点」の対義語は「終点」です。

「起点」の基本例

  • 「その日を起点とする。」
  • 「電車の起点となる。」
  • 「その出来事が起点となる。」

「起点」の例文

  • その日を起点として、彼の運命が変わったのである。
  • その駅は、繁華街に行く電車の起点である。
  • ウイルスの流行が起点として、人々の生活は大きく変化した。

「起点」の文献例

  • ・・・状況にあるからであり、人間諸力の発達にとっては「欲求―意志的行動―充足の過程」が起点的な意味をもつのではないか(「身体・感情・認識の発達」『生活教育』一九七四年八月…川合 章(著) 「ふきぼこの詩」
  • ・・・」もまた“戦後”からの脱却をはかっていた。岸内閣は「日米新時代」を唱えたが、その起点になるのが横田長官登場と同じ昭和三五年に批准される「新安保」だったのである。やや…山本 祐司(著) 「最高裁物語」
  • ・・・、楽しそうに見ていらっしゃいました」 ボストン滞在中の両殿下は、ライシャワー邸を起点として各種の会合やパーティーに出席されたが、美智子妃の恩師がアメリカ人の妻となっ…上坂 冬子(著) 「ハル・ライシャワー」

「基点」の意味・使用例

基点とは

「基点」の意味

基点」は「計測や作図をする際の基準として採用する点や場所。基準点」という意味です。

その他に「基点」は、「考えや行いのもととなるところ」という意味もあり、「彼のボランティア精神の基点は、幼少期の体験に基づいている」という様に使います。

ことばの博士
基点」の類義語は「原点」「基準」などがあります。

「基点」の基本例

  • 「その場所を基点とする。」
  • 「中学校を基点として考える。」
  • 基点をその地点に定める。」

「基点」の例文

  • 長期滞在時の基点としてあの宿を利用しよう。
  • その方との出会いを基点に英語を学び始めた。
  • 基点をその地点に定め、実験を行う予定だ。

「基点」の文献例

  • ・・・つかさどる枢軸とし、その特質を攻撃、敏捷、動的とした。 もう一方の腹は上体を司る基点とし、その特質を防御、堅実、静的とした。 これらの説明は観念的であり、理解が難し…木村 文哉(著) 「武道的身体のつくり方」
  • ・・・から、うっかり見過ごしてしまうような気遣いはない。したがって、それを横切る地点を基点にすると、飛行計画の確定が容易なんだ。 つまり、この飛行の最終部分は、基点通過後…中村 正軌(著) 「アリスの消えた日」
  • ・・・は対照的にスケールが大きい。現在は本谷川との合流点にかけられたアーチ式の瀬戸橋を基点に、塩水林道(車道)が堂平下まで延び、源流から下流まで巨大な堰堤が築かれて、谷底…ハンス・シュトルテ(著) 「丹沢夜話」

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月20日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月20日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
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