「気配」と「兆候」の違い!使い分けのコツ

「気配」と「兆候」の違い

「気配」と「兆候」の違い・使い分けのコツ

「気配」と「兆候」の違い
ことばの博士
気配」と「兆候」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。

気配」は「周囲の様子から感覚的に感じられる様子」、「兆候」は「ある物事や出来事が起こる前触れ」という意味の違いがあります。

気配」は「周囲の様子からどうもそうらしいと感覚的に感じられる様子」という意味です。

気配」の‟”は「くうき、ようす、おもむき」、‟”は「くばる、注意を行き届かせる」という意味があります。

合わせると「周りの様子に注意を向ける」ということになり、各々の漢字からは「気配」の「周囲の様子から感覚的に感じられる様子」という意味は読み取りにくいので、注意が必要です。

なお、「気配」は「室内に人の気配を感じる」のように、科学的観点や根拠というより、感覚的に感じられることが対象になることが多いです。

一方、「兆候」は「ある物事や出来事が起こる前触れ」という意味です。

兆候」の‟”は「きざし、まえぶれ」という意味で、‟”は「ようすをみる、しるし」という意味があり、合わせると「まえぶれのしるし」すなわち「ある物事や出来事が起こる前触れ」という意味になります。

兆候」は、「入道雲がみられるは雨の兆候だ」のように、実際に根拠があったり、裏付けなどがある時に使われることが多いです。

助手猫
感覚的に感じるものは「気配」を使うことが多いんやで〜

「気配」の意味・使用例

「気配」とは

「気配」の意味

気配」は「周囲の様子からどうもそうらしいと感覚的に感じられる様子」という意味です。

また、「株式市場などで取引に見られる傾向を指すときや売買が行われそうな値段」という意味もあります。

ことばの博士
気配」の読みは、文語「けわい」に漢字「気配」をあてたことに基づくとされてます!

「気配」の基本例

  • 気配がした」
  • 気配を感じる」
  • 「買い気配

「気配」の例文

  • そこに猫がいた気配がした。
  • 朝のひんやりとした空気に冬の気配を感じる。
  • 今日の株式市場は買い気配で始まった。

「気配」の文献例

  • ・・・そう言った。 「実際しかけられてはいなかったし、今のところは誰かが侵入したような気配もないが…その可能性があるのか」 シャルルの問いに俺は頷き、先ほど感じた疑問を手・・・ 藤原 万璃子(著)「上海小夜曲」
  • ・・・る。密会と言う、翳りのある、それだけにまた隠微でスリルのあるデートを楽しんでいる気配はしなかった。ただ、越路が好きだから会いたくて会っているという底ぬけな明るさがあ・・・生島 治郎(著) 「片翼だけの天使」
  • ・・・」であった。だが、プロリーグ構想になると、旧態の実業団色があってこそ、と消極的な気配が濃く浮き出した。 その点、バスケットボールは、日本リーグの流れを汲む「JBL」・・・ 杉山 茂(著)「スポーツマネジメントの時代を迎えて」

「兆候」の意味・使用例

「兆候」とは

「兆候」の意味

兆候」は「ある物事や出来事が起こる前触れ」という意味です。なお「兆候」は「徴候」と書くこともあり、同じ意味ですが、「兆候」が使われることが多いです。

類義語に「前兆」がありますが、「前兆」は物事が起こる以前のこと、「兆候」は物事が起こりかけていることを表します。

ことばの博士
兆候の「兆」は元々「占い」という意味があり、「吉兆」「予兆」などとして今も使われています。

「兆候」の基本例

  • 「雨の兆候
  • 「インフルエンザの兆候
  • 「良い兆候

「兆候」の例文

  • 黒い雲が広がり風が吹いてきているのは雨の兆候だ。
  • 倦怠感がでるのはインフルエンザの兆候です。
  • 給料が上がるのは景気が良くなる兆候だ。

「兆候」の文献例

  • ・・・日本リバイバル同盟』や『日本キリスト教団聖霊刷新協議会』の発足などは、その重大な兆候である。やがて今吹いている聖霊のそよ風は嵐となって、日本の教会を覆うようになるの・・・手束 正昭(著)「教会成長の勘所」
  • ・・・の左翼の系統がこぞって賛成し、高く評価しているのである。これは何かよくないことの兆候ではないかと胸騒ぎを覚えるのも無理はないだろう。 果たせるかなというか案の定とい・・・ 渡部 昇一(著)「歴史の真実・日本の教訓」
  • ・・・ある場合、前にしゃべったときと違うことを言ったりするものだ。設楽の話にはそういう兆候は見られない。 設楽の話を聞きおわると斎木は相馬を見て言った。 「つまり、この人 ・・・今野 敏(著)「レッド」

    記事の参考文献

    • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
    • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
    • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
    • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月26日).
    • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月26日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
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