「仮説」と「仮定」の違い!使い分けのコツ

「仮説」「仮定」

「仮説」と「仮定」の違い・使い分けのコツ

「仮説」「仮定」
ことばの博士
仮説」と「仮定」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。

仮説」は「ある現象を説明するために、仮に定めた説」、「仮定」は「話を進める上で、仮にこうと定めること。また、仮に定めた事」という意味の違いがあります。

仮説」は「まだ証明されていないある事柄を説明するために、仮に定めた説」という意味です。

仮説」は、ある現象について、観察力や知識を使い考え出された説ですが、まだ事実だという確証が得られていない状態です。

一方、「仮定」は「考えを進める上で、仮にこうと決めること。また、その仮に定めた事」という意味で、特に数学や論理学では、「問題を解くために定める前提条件」を指します。

ことばの博士
仮説」は名詞のみですが、「仮定」は「仮定する」という動詞形でも使われる、という違いもあります。

「仮説」の意味・使用例

「仮説」とは

「仮説」の意味

仮説」は「まだ証明されていない現象や事柄を合理的に説明するために、仮に定めた説」です。「仮説」はそれまでの経験や知識などから考え出されたものです。

仮説」はまだ定説ではありません。そこから観察や実験などの検証を行い、事実と合致することで定説になります。

ことばの博士
仮説」の類義語に「臆説」などがあります。

「仮説」の基本例

  • 仮説を立てた」
  • 仮説を検証する」
  • 仮説が正しいと思う」

「仮説」の例文

  • 私たちは理科の授業で、なぜ電気が通るのか、仮説を立てた。
  • 私たちは仮説を検証するためにいくつかの実験を行った。
  • 先生が立てた仮説が正しいと思う。

「仮説」の文献例

  • ・・・配置の特徴にこだわり、ピラミッドの正体は「テトラポットであり霞堤であった」という仮説を平成四年(一九九二年)に発表した(『ピラミッドはなぜつくられたか』新潮選書、一・・・ 竹村 公太郎(著)「日本文明の謎を解く」
  • ・・・説を設定した(第一章28ページ)。一から七までは自前のものだが、八番目の社会学的仮説「メディアが変われば、文化が変わる」はマーシャル・マクルーハンの「メディア論」に ・・・歌川 令三(著)「新聞がなくなる日」
  • ・・・期において、自己信頼に基づいた自己形成をしていくうえの基礎にもなるのではないかと仮説でき、子育ての今日的課題と結合するものと思われる。・・・ 金田 利子(著)「4歳児の自我形成と保育」

「仮定」の意味・使用例

「仮定」とは

「仮定」の意味

仮定」は「ある話や考えを進める上で、ある前提を仮に定めること。また、その仮に定めた事柄」という意味です。数学や倫理学では、「問題を解くために定める前提条件のこと」を言います。

ことばの博士
仮定」の文章は、「かりに・もし・たとえ」という副詞や、「~たら、~なら」という助詞をつけて表すことも多いです。

「仮定」の基本例

  • 仮定して考える」
  • 仮定してみよう」
  • 仮定の上で」

「仮定」の例文

  • 明日の外出の予定を、雨が降ると仮定して考えよう。
  • 明日、彼がここに来ると仮定してみよう。
  • その仮定の上で考えたなら、彼女の意見は間違っていない。

「仮定」の文献例

  • ・・・形をしていることは容易に確認できる.そこで(8)の関係をここで使うとがえられる.仮定により,この右辺はx0において0にならないからである.したがって,関係式に対して ・・・小山 昭雄(著)「経済数学教室」
  • ・・・る。会計の包括的理論とは,損益(利益)と資本を決定する目的に向けて,仮定,定義,認識,そして測定の原理と手続きといった一連の諸仮定である。 いかなる理論・・・ 岡本 治雄(著)「現代会計の基礎研究」
  • ・・・ているかつての願望に相応じています。したがって、まさに自分の確信と正反対のことを仮定しなければなりません。同じことですが、無意識的なものは意識と矛盾する正反対のもの ・・・岸田 秀(著)「フロイドを読む」

記事の参考文献

  • 編 西尾実・岩淵悦太郎・水谷静夫・柏野和佳子・星野和子・丸山直子(2019)『岩波国語辞典』第8版.岩波書店
  • 編 小野正弘・市川孝・見坊豪紀・飯間浩明・中里理子・鳴海伸一・関口祐未(2024)『三省堂現代新国語辞典』第7版.三省堂
  • 小学館「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn>(参照日2024年8月22日)
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
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