「寿命」と「余命」の違い・使い分けのコツ
「寿命」と「余命」は類義語ですが、その意味に違いはあるのでしょうか。
「寿命」は「産まれてから死ぬまでの長さ」、「余命」は「今から死ぬまでの長さ」という意味の違いがあります。
「寿命」は「その人が産まれてから死ぬまで、生きている期間の長さ」を意味しています。
「寿命」は一人一人、宿命的に決められていると考えられています。また、「寿命」は人だけではなく「物や器具などの耐年数」という意味もあります。
一方、「余命」は「今から死ぬまでの年月の長さ」を意味します。
「余命」は「その人が今から死ぬまでの残りの人生の長さ」です。命に関わる病にかかっている人や、高齢の方など、一生の終わりに近づいていると思われる人に使われることが多いです。
「誕生から亡くなるまで」と「今から亡くなるまで」という違いがあるんやで。
「寿命」の意味・使用例
「寿命」の意味
「寿命」は「宿命的に決められていると考えられる、その人が誕生した時から亡くなるまでの期間」のことです。「健康寿命」という言葉もありますが、こちらは「介護を受けたりせずに、健康的に過ごせるまでの期間」という意味です。
また、「寿命」は物にも使われます。「その物や器具などが使用できる期間。またその限界」という意味があります。
「寿命」の類義語には「天寿」「天命」などがあります。
「寿命」の基本例
- 「寿命が縮む」
- 「寿命だったと思う」
- 「もう寿命だ」
「寿命」の例文
- この前の地震はとても怖くて、寿命が縮むかと思った。
- 祖父が亡くなったのは寿命だったと思うが、突然だったので非常に悲しい。
- この冷蔵庫は20年以上も使っていたから、もう寿命だ。
「寿命」の文献例
- ・・・の組織化および地域社会のすべての人に共同社会の組織的な努力を通じて病気を予防し、寿命を延長し、肉体的、精神的健康と能率の増進をはかる科学であり、技術である」と定義さ・・・ 河原 和夫(著)「社会福祉士のための基礎知識」
- ・・・先に昔の空気がひっそりと漂っているのを見るのである。 粗末な裏長屋は遂に寿命尽き、廃屋と化して片づけられたりしているのを目撃したこともあるけれど、乾燥した瀬・・・ 石堂 淑朗(著)「探訪日本の庭」
- ・・・ではない。1960年代の初めには,少産少死型への人口変動と平均寿命の延長によって生産年齢人口が減少することは,すでに予測されていた。当時の池田勇人 ・・・農野寛治(著)「ソーシャルウエルビーイング事始め」
「余命」の意味・使用例
「余命」の意味
「余命」は「その人が今からあとどれ位の期間、生きるのか」という「残りの人生の長さ」です。
「寿命」に比べると日常で使うことは少ないですが、「余命いくばくもない」「余命宣告」という様に病状の説明で使われ、一生の終わりに近づいている人に対して使われることが多いです。
「余命」は「余り(あまり)の命」と考えると意味が分かりやすいです。
「余命」の基本例
- 「余命宣告」
- 「余命いくばくもない」
- 「余命のこりわずか」
「余命」の例文
- ずっと入院していた祖父が、ついに余命宣告された。
- 私も高齢になり余命いくばくもないが、充実した毎日を送りたい。
- 彼が余命のこりわずかだと分かり、遠方に住む友人達が会いに来てくれた。
「余命」の文献例
- ・・・る感覚であったのではなかろうか。 次に、この死亡記載から、生命表を作成し、平均余命を計算してみよう(詳細については、本書の付章参照)。ここでは、満ゼロ歳時の死亡率 ・・・速水 融(著)「江戸農民の暮らしと人生」
- ・・・数日間ひた走りに走った。やっとビースクで父との再会を果たしたが、その父にはもはや余命幾ばくも残されていなかった。父は強制収容所での慣れない重労働ですっかり健康を害し・・・ 福島 鋳郎(著)「ポーランドから」
- ・・・生きていることの証しなのである。それにしても、子規はよく食べた。はたしてこれが余命いくばくもない重病人なのかと思えるほどである。肺と脊椎は蝕まれていたものの、胃腸 ・・・木原 武一(著)「人生最後の時間」
記事の参考文献
- 編 林史典・林義雄・金子守(2016)『学研現代標準国語辞典』第3版.学研プラス
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・山田明雄・上野善道・井島正博・笹原宏之(2012)『新明解国語辞典』第7版.三省堂
- 小学館.「デジタル大辞泉」<https://dictionary.goo.ne.jp/jn/(参照日2024年8月14日)
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会「漢字ペディア」<https://www.kanjipedia.jp/(参照日2024年8月14日)