「若干」と「弱冠」の違い・使い分けのコツ
「若干」と「弱冠」は、どちらもジャッカンと読む同音異義語です。
「若干」は「少しの量・程度」、「弱冠」は「年が若い」という違いがあります。
「若干」は「少しの量・程度」「多くはないが、ある程度の数量」という意味があります。
なお「若干」は副詞でも用いることができます。
「弱冠」は、「年が若い」「男性で20歳のこと」という意味があります。
「弱冠」とは、男子20歳を古代中国で、”弱”といい、その際に成人して、冠をかぶるということから生まれた言葉です。
「若干」と「弱冠」は同じ読みやけど、意味が全く違うから注意やでー。
「若干」の意味・使用例
「若干」の意味
「若干」は「少しの量、程度」「多くはないが、ある程度の数量」「いくらか、多少」という意味があります。
「若干」は多くはないが数量が決まっていない場合に使います。
「若干」の同義語には、「いくらか」「少し」などがあります。
「若干」の基本例
- 「若干のお金」
- 「若干の不安」
- 「不明な点が若干ある」
「若干」の例文
- 祖父母の介護費用のために、若干のお金を用意した。
- 会議が行われたが、不明な点が若干ある。
- こんなに幸せな人生を過ごしているが、将来に若干の不安がある
「若干」の文献例
- ・・・若い頃の力が100%残っているわけではないので,一番よかった頃の視力と比べると若干劣っているはずです。○視力に影響を与える・・・廣辻 徳彦(著)『白内障・緑内障治療とケアQ&A』
- ・・・一人一回2500円以下の食事には、新たに3%の消費税がかかってくる。若干割高となる見込みだ。これが2500円から5000円の・・・山本 雄二郎(著)『消費税こうやればいい』
- ・・・軍の主計官の職務を手に入れよう」と思っていたとされるからである。彼は当時、若干の財産の売却に奔走し、そして九月になって出発した。この点でもまた・・・ジュヌヴィエーヴ・ロディス・レヴィス(著)/ 飯塚 勝久(訳)『デカルト伝』
「弱冠」の意味・使用例
「弱冠」の意味
「弱冠」は、「年が若い」「男性で20歳のこと」「20歳前後の若い人」を意味します。
現在では、ある賞の平均よりもかなり若い年齢でその賞を受賞するなど、相対的な若さを表したい場合にも「弱冠」を使います。
ただその場合も、10代〜20代までで使うのが一般的で、「弱冠4歳」「弱冠47歳」などの使い方はしない方がいいです。
一部国語辞典では「弱冠」を「若冠」と載せていますが、新聞などでも「若冠」とは使わず、「弱冠」を使う方が無難です。
「弱冠」の基本例
- 「弱冠18歳のチャンピオン」
- 「弱冠17歳で7段の棋士」
- 「弱冠21歳の社長」
「弱冠」の例文
- オリンピックに出場した彼は弱冠18歳でチャンピオンになり、金メダルを獲得した。
- この会社に弱冠21歳の社長が誕生した。
- 弱冠15歳の棋士はトーナメント戦で優勝した。
「弱冠」の文献例
- ・・・事前の相談があったわけでなく、それは王太子シャルルの完全な独断だった。弱冠二十一歳の瘦せぎすな若者である。心細さは言を俟たない・・・佐藤 賢一(著)『双頭の鷲』
- ・・・“マーク・ジェイコブス”などの有名ブランドで差をつけて。Hollyという弱冠28歳のデザイナーが立ち上げた新靴ブランドの・・・秋葉 文子(著)/ 高橋 恵(著)『Domani』
- ・・・父親の亡くなった一九〇五(明治三八)年、弱冠二五歳で家督相続し樋口組を興した。一九三〇(昭和五)年当時の資料に・・・内田 青藏(著)『「間取り」で楽しむ住宅読本』
記事の参考文献
- 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版、三省堂
- 編 北原保雄 (2011)『明鏡国語辞典』第二版、大修館書店
- 編 新村出 (2008)『広辞苑』第六版、岩波書店
- 著 鎌田正、米山寅太郎 (2011)『新漢語林』第二版、大修館書店
- 編 一般社団法人共同通信社(2022)『記者ハンドブック:新聞用字用語集』第14版.共同通信社