「反面」と「半面」の違い!使い分けのコツ
「反面」は「反対側の面、ある面と対照的な面」、「半面」は「片側、物事の一面」という意味の違いがあります。
「反面」は「反対側の面、一面、ある面と対照的な別の面」という意味があります。
「反面」の“反”は「正反対の」、‟面”は文字通りの意味があり、合わせると「正反対の面」という意味になります。
「反面」は「反対の面」という意味が転じて、副詞的な用法で「ある面とは対照的な面のこと」という意味で使われることが多いです。
なお、副詞的な用法で多く使われる「反面」は、「彼は優しい一方で(=反面)、怒らせると凶暴な一面もある」のように、「一方で」や「しかし」といった逆説の接続詞に置き換えて使うことができることが特徴です。
一方、「半面」は「片側、顔の半分、(物事の)一面」という意味があります。
「半面」の‟半”は「二つに分けた一方」、‟面”は上述の意味があるので、合わせると「二つに分けた一方の面」、すなわち「片側」という意味になります。
「半面」は、「片側」という意味が転じて、副詞的な用法で「(物事の)一面」という意味になり、使われることが多いです。
なお「半面」は、「一面」という意味で使用する場合、「反面」の「ある面とは対照的な面のこと」とほぼ同義で、「反面」に置き換えて使うことができます。
さらに「反面」の「反対側の面」と「半面」の「片側」という意味も、時と場合によっては、同じ面を指すこともあります。
以上のように「反面」と「半面」は、ほぼ同義の意味合いもあることから、新聞紙面では「反面教師」「反面調査」という言葉を除き、厳密には「反面」という言葉を使う場面でも「半面」に統一されて使用されています。
「反面」の意味・使用例
「反面」の意味
「反面」は「反対側の面、一面、ある面と対照的な別の面」という意味です。
これは、”裏と表”のように言葉通り「反対側の面」という意味と、そこから転じた副詞的な用法の使われ方があります。
「反面」の基本例
- 「あの行動を反面教師としよう」
- 「良いところもある反面、悪いところもある」
- 「立派な行動を見ていた反面、裏の姿に気づいていなかった」
「反面」の例文
- 彼は道徳的に間違った行動しているが、私たちはそれを反面教師として気をつけよう。
- 彼は誰にでも優しいという良さがある反面、優柔不断という悪いところもある。
- 聴衆は、彼女の立派な選挙演説に聞き惚れていた反面、裏では彼女が賄賂を貰っていたことに気づいていなかった。
「反面」の文献例
- ・・・営の主流となり、かつての個々分散的な「自立的家族経営」は消滅しつつある。こうした反面、大規模餌料・種苗供給業者(=大規模産地出荷業者)、日本水産などの大手水産会社な ・・・増井 好男(著)/ 常 清秀(著)/長谷川 健二(著)「食料・農産物の流通と市場」
- ・・・ ないと、前の部長と違って、韮塚はすぐに怒る。 部下としての野々村を可愛がっている反面、いわゆる躾の面でも、韮塚は人一倍、野々村には厳しかった。 八階でドアが開くと目 ・・・吉村 達也(著)「竜神温泉殺人事件」
- ・・・きることのむずかしさや、人間や社会の暗い面にも気づかざるをえなくなります。しかし反面、自分から進んで状況に対決したり、自分の責任や運命を自覚して極めて主体的に生き抜・・・村瀬 孝雄(著)「中学生の心とからだ」
「半面」の意味・使用例
「半面」の意味
「半面」は「片側、顔の半分、(物事の)一面」という意味があります。
上述のように新聞紙面では「反面教師」「反面調査」という言葉を除いては、「反面」は使われず「半面」で統一されていますので、使い分けに迷った際は「半面」を使った方が無難といえます。
「半面」の基本例
- 「りんごの半面」
- 「半面形面体の防毒マスク」
- 「その半面、真実は別にある」
「半面」の例文
- りんごの半面のみが日光に当たらないとその面は赤くならない。
- 口と鼻を覆う形式のものを半面形面体の防毒マスクという。
- 世間にはそれが事実だと思われているかと理解しているが、その半面、真実は別に存在する。
「半面」の文献例
- ・・・001年のツアーについて「学びのプロセス」を促進した要因を主に取り上げたが、その半面でいくつかの阻害要因のために参加者が困難に直面したケースも見られた。その最たるも・・・川村 尚孝(著)「フィリピンにふれる、アジアに学ぶ」
- ・・・ざと刃のこぼれた鈍刀で経清の首を挽き斬らせた。凍死しかけた部下を懐に抱いて温める半面、目を覆わしめる残虐をも、義家はあえてした男であった。荒野の武人である経清は、だ ・・・杉本 苑子(著)「悲劇の風雲児」
- ・・・ ルの投資する株式は、長期的には公開により売却され市場に流通することになりますが、半面 、企業成長のスタートアップ段階での投資資金およびこれによる信用の増大、以降のノウ・・・ 加藤 晶春(著)/ 松野 雄一郎(著)「株式公開の知識」
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月14日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月14日).