「発行」と「発効」の違い!使い分けのコツ

「発行」と「発効」の違い

「発行」と「発効」の違い・使い分けのコツ

「発行」と「発効」の違い
ことばの博士
発行」と「発効」は、どちらもハッコウと読む同音異義語です。

発行」は「本・新聞・書籍などを印刷して世の中に出すこと」、「発効」は「効力が発生すること」という意味の違いがあります。

発行」は「本・新聞・書籍などを印刷して世の中に出すこと。紙幣、証券などを作り世の中に通用させること」という意味です。

発行」の“”は「外部や世間に向けて出す」‟”は「書物を世に出す」という意味があり、合わせると「書物を世間に向けて出す」という意味になります。

発行」は、上述のように、本・新聞・書籍などだけではなく、紙幣や貨幣、証券や免許証などの証明書、入場券などにいたるまで、様々なもので使えます。

すなわち「発行」は、印刷して、作ったものを世の中に出したり、通用させること全般を指します。

一方、「発効」は「条約・法律などの効力が生じること」という意味です。

発効」の‟”は「力を発揮した結果。ききめ」という意味があり、上述の‟”と合わせると「効きめが外部や世間にむけてあらわれる」すなわち「効力が発生すること」という意味になります。

法律や条約などが「発効」されるまでのプロセスは、基本的には、制定後、まずは公布され、周りに周知されます。そして、一定の時間を経過後、法律や条約が「発効」され、効力を持ち始めるという流れです。

発効」は条約や法律関係で使われることが多い言葉です。

助手猫
発行」も「発効」も世に出ていくもんやけど、印刷物か条約・法律かで大きな違いがあるんやで

「発行」の意味・使用例

「発行」とは

「発行」の意味

発行」は「本・新聞・書籍などを印刷して世の中に出すこと。紙幣、証券などを作り世の中に通用させること」という意味で、印刷して、作ったものを世に流通させたり通用させる時に使います。

また、「発行」は「はやり、流行」という意味もあり、この意味の場合のみ「発向」とも書きます。

ことばの博士
発行」の類義語は「印行」「刊行」などがあります

「発行」の基本例

  • 「紙幣を発行する」
  • 「証明書を発行する」
  • 「雑誌を発行する」

「発行」の例文

  • 新しい紙幣が発行された。
  • 市役所で印鑑証明書を発行してもらった。
  • 今月の雑誌を発行する。

「発行」の文献例

  • ・・・を用い、今日にて云えば海陸の汽船、汽車、郵便、電信、電話等は勿論、著書、新聞紙の発行を自由にしてその頒布を速にし、苟も社会に生じたる千差万別の事物を洩らさず、人間の・・・福澤 諭吉(著)「福澤諭吉著作集」
  • ・・・た半期報告書及び臨時報告書を参照すべき旨が記載される。 発行登録による有価証券の発行予定期間は,発行登録の効力が生じた日から起算して2年を超えない範囲内で内閣府令で・・・岸田 雅雄(著)「証券取引法」
  • ・・・むことができると思います。 私が勤務していた病院でも、犬の鑑札をなくしたので、再発行してもらえるかどうか、とか、犬が迷子になったのでどうしたらよいか、など、病気や処・・・ 柿川 鮎子(著)「犬の名医さんの見つけ方」

「発効」の意味・使用例

「発効」とは

「発効」の意味

発効」は「条約・法律などの効力が生じること」という意味です。

下述の例にもありますが、条約・法律以外でも「発効」はもちろん使うことができ、「保険証の発効年月日」であれば、その保険証が実際に使用できるようになる日付を指します。

ことばの博士
発効の対義語は「失効」です

「発効」の基本例

  • 「条約の発効
  • 「法律が発効された」
  • 「保険証の発効年月日」

「発効の例文

  • この条約は来年発効される。
  • 法律が発効されたのは2020年です。
  • 保険証の発効年月日は2024年10月1日です。

「発効」の文献例

  • ・・・政措置をとらなければならないとされている。日本では1990年に署名し,94年から発効している。この条約で,すべての子どもの「生命への権利,生存・発達の確保」(6条)・・・ 白川 蓉子(著)「育ちあう乳幼児教育保育」
  • ・・・反政府、反共和国勢力を勢いづかせることになったのは当然である。 レンテンマルクの発効は二三年十一月十五日だが、その前十月にはザクセンとテューリンゲンで共産党参加の左・・・ 坂井 榮八郎(著)「ドイツ史10講」
  • ・・・した。 米国の抱いたもうひとつの不安は、日中が結びつく可能性であった。講和条約が発効した五二年四月から三か月ほど経った時期に、「日本に関する米国の目標ととるべき行動・・・石井 修(著)「冷戦と日米関係」

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月22日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月22日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)
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