「学習」と「学修」の違い!使い分けのコツ
「学習」は「学校などで基礎的な知識を繰り返し学ぶこと」、「学修」は「一定のカリキュラムに従って、知識や学問を学んで身につけること」という意味の違いがあります。
「学習」は「学校などで他者と一緒に繰り返しながら段階的に基礎的な知識を学ぶこと」という意味です。
「学習」の“学”は「まなぶ」、‟習”は「ならう」という意味があり、合わせると「学び、習う」という意味になります。
「学習」は「学習指導要領」や「生涯学習」といった学ぶ行為そのものに焦点が当てられていることが特徴で、「学習」の後に理解する、修得するというところまでは求められていません。
また、生物学や心理学といった特定の学問の専門用語として、「ヒトを含めた動物が経験したことを反復することで、環境に適応した行動を習得していくこと」といった意味もあります。
これは、「家の中で粗相(そそう)をして叱られた犬は、それを学習して、ペット用トイレで用を足すようになった」のように人間以外の場合も使うことができます。
また、知識の中でもいわゆる経験知(経験したことで得た知識)や暗黙知(個人の経験や勘、直観などに基づいた知識やスキル)を学んだ場合にも使うことができます。
一方、「学修」は「一定のカリキュラムに従って、知識や学問を学んで身につけること」という意味です。
「学修」の‟学”は上述の意味と同じく「まなぶ」、‟修”は、「おさめる」という意味があるので、合わせると「学んで、修める」という意味になります。
「学修」は、学ぶことに加えて、身につけること、理解することを表す際に使用します。
なお、中等教育(高校)までは学ぶことに関しては「学習」を使用しますが、高等教育(大学、高専、専門学校等)以降は「学修」が使われます。
これは、高等教育(大学、高専、専門学校等)以降は知識や技能を学び修得する専門性をともなうからです。
「学習」の意味・使用例
「学習」の意味
「学習」は「学校などで他者と一緒に繰り返しながら段階的に基礎的な知識を学ぶこと」、また専門用語として、「ヒトを含めた動物が経験したことを反復することで、環境に適応した行動を習得していくこと」という意味があります。
一般的に使われている「学ぶこと」という言葉のほとんどが、「学習」と言い換えることができます。
「学習」の基本例
- 「学習障害」
- 「小学校の学習指導要領」
- 「その場の雰囲気から学習する」
「学習」の例文
- 今日、読み書き、計算などのある特定の技能を習得することに困難を持つ「学習障害」に悩む子どもが増えている。
- 文部科学省が教科内容などを示す学習指導要領は、小学校・中学校・高等学校までに対して存在する。
- 彼女の苦々しい顔やその雰囲気から、対応を誤ったことを学習した。
「学習」の文献例
- ・・・ い、そこから抜け出していく努力の過程の中で成長していくのです。 趣味活動も、生涯学習の一つです。趣味活動を続けていく中に単なる「やりがい」を見つけるだけではなく、自 ・・・鈴木 啓三(著)「 定年からの生きがい革命」
- ・・・持ちの未亡人の胸に身をゆだねたなどのエピソードは、最近の臨床心理学の眼で診れば、学習障害を伴う注意欠陥多動的・衝動性にアスペルガー障害が加わった異才、天才ではなかっ ・・・井上 敏明(著)「アスペルガーの子どもたち」
- ・・・う弾力的に運用するか(1)新しい視点としての時間割・日課表の弾力的な運用 今回の学習指導要領の改訂においては,教育版地方分権・規制緩和の推進の一環として,時間割・日・・・今谷 順重(著)「総合的な学習ヒット教材集」
「学修」の意味・使用例
「学修」の意味
「学修」は「一定のカリキュラムに従って、知識や学問を学んで身につけること」という意味があります。
「学習」と比較すると、目にする機会は少ない言葉ですが、学ぶことそのものだけではなく、「身につけること」に重点で置かれた言葉といえます。
「学修」の基本例
- 「大学の学修計画」
- 「仏法を学修する」
- 「学修者本位の教育」
「学修」の例文
- ○○大学の教授会では、来年度の学修計画が話し合われている。
- 立派な僧侶になるためには、仏法を学修することが何よりも大切だ。
- 学生に対して、学修者本位の教育を実現するために大学ができることは3つある。
「学修」の文献例
- ・・・:程を経ることによって,学生は他者評価を参考にして自己評価の妥当性や多面的な見方を学修することができる.また,視聴覚ビデオ鑑賞で,患者の特徴はある程度おさえられるが,・・・土屋 八千代(著)「看護事故予防学」
- ・・・備、社会人向け短期集中コースの開設・学位授与、コミュニティカレッジにおける高度な学修の単位累積加算制度の整備等により、大学等への社会人受入を今後5年間で現状の3倍程 ・・・実著者不明 「産業構造審議会新成長政策部会中間とりまとめ」
- ・・・ 改訂のときに、参考にしたかどうかも、今のところ不明である。 「僧伝」を中心に、「学修 」「諸宗」「寺像」などの部門誌を併せた、虎関師練の『元亨釈書』が完成したのは、無・・・ 大隅 和雄(著)「 信心の世界、遁世者の心」
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月7日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月7日).